チーズ工房IKAGAWAの魅力は、
自然と共存した暮らし
人と人との調和、
小さなコミュ二ティに見いだした暮らしの原点
自然と人との調和は、人と人の調和に通じる
伊豆大島での農業プロジェクトに参加していた五十川敬記さんは、退職時に2頭の子牛を譲り受けた。五十川さんの出身は岐阜の揖斐川近くの雪深い農村、奥様明子さんは北海道根室の出身、お二人とも幼い頃から農業を身近に感じていたという。
譲り受けた2頭の牛をどこで育てるか…。それは、お二人にとって大きな経験をもたらす旅となった。牧草地として自分たちが購入できる場所を探すために、日本各地の農村をまわったという。長野、三重、紀伊半島など様々な地域を巡ったお二人の目の前に現れた『日本が抱える農村問題の現実』。そこには、過疎化し全くゴーストタウンとなった人の気配を感じない村々が存在したそうだ。その愕然とする実態を肌で感じ、自分たちは牛たちと一緒に何をやっていくべきなのか?と自らに再び問いただしたという。
人里離れた場所ではなく、人の暮らしを身近に感じる場所がいい。
小さくてもいい、自立した酪農スタイルを実現しよう。
「人の暮らしのある集落で牧草地を探したいと思いました。側に農家のおじいちゃん、おばあちゃんがいて、子供たちがいて…。人の暮らしを感じる場所で、自立した酪農をし、地域に根ざした暮らしをしていこうと考えました」穏やかな笑顔で五十川さんは話してくれた。辿り着いたのは、いすみ市の山田だった。山田に売り出していた家つきの農地を見つけた五十川さん夫妻。家付きで農地が売りに出されることはめったになく、非常にめずらしい物件だったという。「縁があったんですね」と明子さん。背の高さ程あった茅を刈り、農地を切り開き、牧草地にして牛たちを放牧させた。餌のために、あちこちの休耕田の草を刈り取る五十川さんたちを村の人々は受け入れ、信頼し、うちの農地も使っていいよとどんどん放牧地が広がっていった。今では一町五反の広大な牧草地で3頭のジャージー牛、ミミちゃん、モモちゃん、ナナちゃんを放牧させている。のびのびと草を食む牛たち、見上げるとひろびろと広がる青空、その爽やかな空気は五十川夫妻のようだと感じた。
スイスのチーズ工房でチーズづくりを学んだ五十川さん。お嬢さんがスイスに居住しているという関連で、チーズ工房で学ぶきっかけを得たということだが、当時は全く言葉を話せず、身振り手振りでチーズづくりを学んだという。今では、チーズづくりについて書かれた原書を読めるまでになったという。「不思議にチーズのことならわかるんだよ」と五十川さんは微笑む。
チーズ工房IKAGAWAの
チーズが美味しいわけ
丁寧な手づくりが美味しいチーズを完成させる
スイスで学んだチーズ製法
五十川さんご夫妻の朝は早い。朝、一番に牛たちのミルクを搾り、軽く殺菌して微量のレンネット(子牛の胃から抽出する凝固酵素)を加えて時間を置く。しばらくすると、皮膜ができてゆっくりと固まり、ミルクプリンのような状態になる。それをカッティングしてカードと呼ばれる小さな粒をつくる。あずき程の大きさのカードを集めて型に入れ、チーズの大元であるグリーンチーズを作る。これで一日目の工程が終了する。
それから塩漬けして乾燥させる。そして、リネンスキンなどの発酵酵素を加え、熟成させる。低温と高湿度を必要とするチーズ蔵となる熟成庫も、五十川さん自ら岩盤を掘って作ったもの。手をかけた仕事の中でじっくり3〜4ヶ月チーズを熟成させる。これがスイス伝統のチーズ製法で、美味しいナチュラルチーズ『ムチュリ』が完成する。チーズの種類によって、使用する乳酸菌も発酵酵素も全く異なり、クリームチーズやモッツァレラなど作る工程そのものも変わる。酵素を変えることで、味の違いが出せるという、チーズづくりは奥が深い。五十川ご夫妻が、いすみの山田で完成させた記念すべき第一作目はムチュリ。
このチーズは、チーズ工房IKAGAWAの想いが込められた代表作と言えるだろう。
山田の人々の人情に支えられ、作られるチーズ
初めの牧草地には綺麗な小川が流れ、牛たちの自然の水飲み場となっていた。ある大雨の翌朝、まだ薄暗いうちに家の戸を叩く音。ちょうど敬記さんは、スイスにチーズの勉強に出向いている時、ひとりで家を守っていたのは明子さん。恐る恐る家の戸を開けてみると、そこには近所の農家の方々がいた「あんたの所の牛が大変だ!溺れているよ!」慌てて、牧草地へ向かうと大雨で増水した川に溺れそうになっている2頭の牛がいた。「ほら、助けるよ!」農家の方たちが明子さんをリードし、一緒に牛を助け出してくれたという。しばらく、牧草地が使えなかった間は、近くの肉牛を飼う牧場主が、小屋の一角を五十川さんの牛たちに貸してくれたそうだ。「周囲の人に応援されていると感じます」と明子さん。山田の人情が五十川さんたちと共に牛を見守っているようだ。チーズ工房IKAGAWAのチーズは人の心が込められている。それも味わい深さの秘密だろう。
自然に沿った方が長い目で安定した生産ができる。
チーズ工房IKAGAWAでは、牛が妊娠すると搾るミルクの量を減らし、出産する体力を温存する。そして、出産後は子牛にミルクを飲ませるために、ミルクを搾ることを停止する。「丈夫な牛に育てるためには、母牛からいっぱい栄養分を含んだミルクを子牛に飲ませる必要があります。一時的にチーズの生産量は減りますが、長い目で見れば、その方が安定した品質のチーズの生産につながります」と五十川さん。妊娠、出産、授乳、丈夫な身体をつくる重要な時期は、人間も牛も同じ。その時期に配慮したチーズの生産を重視する五十川さんのポリシーに感動する。人は、多くの命をわけてもらって自らの身体をつくるわけだが、自然の道理に沿いながら、食せる時に食すという人間本来の食事のスタイルがそこに存在する。
昔から日本人が培ってきた大事な食事という営み、その重要性に気づかせてくれる、それがチーズ工房IKGAWAのナチュラルなスタイルだった。自然の恵みに感謝しながら、大事に頂きたい本物のチーズがここに存在する。そこは、いすみ市山田村、昔ながらの人情がある日本の農村だ。
チーズ工房IKAGAWAで学びたい
チーズ工房IKAGAWAには、畜産大学から酪農の研修に訪れる学生たちがいる。取材当日も、岩手の中洞牧場で仕事をする堀田麻祐子さんが、休暇で横浜に戻った機会を利用して五十川さんのお宅を訪れていた。
「これからの若い人たちに、自立した酪農のスタイル、農業のスタイルを実践してもらいたいですね。昔は各村々に様々な職人さんたちがいて、お互いがお互いの必要なものをつくり、助け合いながら生活していたものです。そのスタイルが、今各地で必要なことのように思います。今の若者たちの中には、未来のことを大事に考えている人が多くて頼もしく感じます」五十川さんの深い言葉を何度も噛み締める。自分ができることは何か?何をすることで人の役にたてるのだろうかと…。
ココ・マルシェがそのひとつのお役にたてることを願い、心を込めて本物のチーズをお届けします。
チーズ工房IKAGAWAのチーズは生産量が限られています。場合によっては、ご予約いただいてからお待ち頂くこともあることをご了承ください。今、授乳期なんだなと、牛たちの姿に想いを寄せ、美味しいチーズがお手元に届く時を楽しみにお待ち頂きますよう、重ねてお願い申し上げます。
- ご連絡先
- CoCo Marche ココ♥マルシェ
- TEL 0475-42-7737 Email localcross@coco-marche.com


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